天王洲アイルに行く必要があったためゆりかもめに飛び乗った。
早くも一行目で間違えている。
そう、天王洲アイルに行くのならゆりかもめではなくて
東京モノレールに乗らなければならない。
ただ、すぐに気づかず席に座れた事に喜びを感じお台場の夜景を楽しんでいた。
ふと、ゆりかもめがこのままお台場に行ってしまうと思い出すまでは。
次の駅で飛び降り、一度戻ってモノレールに行こうか迷ったがおそらく10分程度歩けばつくであろうと思って駅を後にした。
信号待ちのついでに念のために交番で天王洲アイルまでの残りの距離と行き方を確認したら、その交番の警察官は
「ちょっとまってね」
と言いながら地図上のゆりかもめの路線を指でなぞりながら天王洲アイルを探し始めた。
俺と同じ間違いをしている。。。
ちょうど警官の指がお台場に上陸した頃に、俺は天王洲アイルの位置を確認したが、およそ3キロある。。。
警官に天王洲アイルの正しい位置を教え、お礼を言いタクシーを捕まえて行く事をつげその場を後にした。
首都高の下を走っている大きめの道なので、すぐに捕まるかと思ったタクシーだが、なぜか回送ばっかり走っている。
なんなんだここは。。。
ようやく一台空車と表示したタクシーが着たので手を上げたが
思いっきり素通りされた。
タクシーが横を通りすぎる時に運転手と俺の目はがっつり合っていたのに。
挙げた手が中指だけを残し、むなしく天を指していた。
回送とブッチするタクシーだけしか通らないこの道に、もう何も期待する事はできない。
ここはナンバ走りで目的地を目指そう。
(ナンバ走りとは江戸時代の飛脚が使用していた走法でこの走り方をしていた飛脚は一日に何十キロも走れたという。詳しくはwikipediaを見てくれ。)
3キロなんて何の問題もねーと走りだし、100メートル先ではすでに徒歩に変わっていた。
準備運動の大切さを再認識し、痛めた左足の様子を見ながら走ったり歩いたり時には競歩してみたりと先を急いだ。
しばらくすると、ゆりかもめが向こうの方を走っているのが見え、自分が歩いている道の上を併走しているのが見えた。
このまま真っ直ぐで問題ないと思いモノレールの下を走っていれば、駅に着くと思っていたが、ふと上を見上げるとそこにはモノレールではなくトラックが走っていた。
ガッデム!!
俺はてっきりモノレールの路線かと思っていたが実は首都高だったとは。
モノレールはどこに消えたんだ。
落ち着け俺。
訳が分かんなくなった時はいったん全てを忘れて初心に戻るんだ。
この道を真っ直ぐ行くだけ。そう、それだけだ。
自分を言い聞かせ、既に目的地は通り過ぎたのではないかなどとの不安と戦いながら俺はモノレールの駅が見えるまでひた走り、汗と冷や汗を流しながら目的地にたどり着いた。
たかが2,30分そこらの道中、いくつかの出会いと別れを体験し、
帰って「フォレストガンプ~一期一会~」でも見ようかと思いながら
俺は帰りのモノレールの路線図を見て天王洲アイルと浜松町がたった一駅なのを眺めていた。