さて、今日まで自衛隊に入隊するまでを
克明に書いてきましたが、実はわたくし、
入隊後のことをキチンとした時系列で覚えていません。
というのは、
自衛隊は毎日同じ時間に始まり、同じ時間に行動をとり、
同じ時間に食事をし、同じ時間に眠るからです。
たしかに少しは変わった日常を過ごしますが、
ほんの些細な変化以外は記憶にあまり残らないのです。
これからは少しの変化、ちょっとした事件などを綴っていきたいと
思います。
入隊式が終わり、訓練もキチンとした戦闘訓練を行うようになって
きた日々。
ついに銃を受領するときが来た。
銃は自分を守る武器であり、他人を傷つける武器でもある。
銃の受領式というのがあって、ちゃんと予行演習もする。
それは、壇上に立った「中隊長」から、同じ壇上に立って
銃をひとりひとり手渡される大事な儀式であり、
予行演習では中隊長の代わりに班長が、
木銃(木で銃を模したもの)で
「力いっぱい」受領することを練習する。
まず、中隊長が待つ壇上に上がる。
中隊長が隣の小隊長から銃を一丁受け取る。
中隊長は銃の番号を読み上げる。
「ひとさんはちはちひとまるなな!!(1388107)」のように。
その言葉をそのまま大きな声で言い返す 。
「ひとさんはちはちひとまるなな!!(1388107)」
中隊長は力いっぱい銃をこちらの胸に押し付けてくるので、
こちらも力いっぱい銃を握り締める。
銃は小銃といって、ライフルのように長いので、斜めに受領する。
そして敬礼を行い、壇上からぼくらは去る。
かっこいいのだ。
この儀式はかっこいいのだ。
みんな、手渡される銃は、生まれて初めて手にする鉄の塊だ。
見たい。
銃をすぐにねめまわしたいのだ。
が、みんな整列し、視線は中隊長から外す事はない。
儀式。
特別な儀式がそうさせる。
最後のひとりまで銃を受け取ると、全員で中隊長の話を聞き、敬
礼をして、
一列に並んでとある建物に向かう。
武器庫といって、武器を収納する倉庫にむかうのだ。
そして、前から順番に銃を格納するのだ。
あ!
おれ!
銃をもっと見たい!
だめなのだ。
その日は格納するしかないのだ。
次々と銃は格納されていく。
こんなちょっとの時間で、急にみんなは自分たちは自衛官である
ことに
気がつき始める。
銃が仕事の道具!!
すごい違和感。
すごい高揚感。
ミリタリーマニアにはたまらない日だ。
ぼく?
ぼくはミリタリーマニアじゃないからあまり喜びはなかった。
え?
さっきから何をやってるのかって?
見てわからないかい?
中隊長から銃を受領したとき、
力いっぱい渡すもんだから
「ぅあいて!」と気合十分に言ってしまって、
班長に怒られて腕立てしているんだよ。
あと10回で終わるから、みんな待っててくれよ。
つづく
なにをやってんだマイバディよ。