初めての行軍演習は、10Kmほどの距離であった。
事前に行軍は厳しいものとして上官から伝えられていたので、
当日みんな及び腰だった。
銃を持ち、背嚢(はいのう・リュックのこと)に装備をつめて、初めて戦闘服で
駐屯地から外へでる。
山へ向かう途中、印象的だったのが通行人であるおばあちゃんが
僕らに対してありがたそうにお辞儀をしていたことだ。
いま思い出しても感動してしまう。
そうか、国を守るぼくらを応援してくれているのか。
ありがたい気持ちなのか、と。
がんばろう、と思った。
やっていける、と思った。
「行軍」といえば、泥の河に腰までつかり、銃を頭上にかざしながら前進したり、
匍匐前進を要所でおこなうイメージがあったが、
普通に歩いて終わってしまった。
結構あっけらかんと、何事もなく終わった。
おばあちゃんと、山頂の神社しか覚えていない。
そんな感じだった。
遠足のようだった。