「だいたいどうしてかれらが言い争っていることがわかったの」
セ?ネドラは恥じ入るように赤面した。
「わかったわ」ポルガラがつぶやくようにいった。「どうやら妹の護符の使いかたをもう覚えてしまったらしいわね。まったく何てお利口さんなんでしょう」
「お願いよ、やらせ乳鐵蛋白てちょうだい!」セ?ネドラはだしぬけに叫んだ。「わたしにかれらを率いさせてよ。わたしにだってきっとできると思うわ。わたしがガリオンの奥方にふさわしいことを証明させてちょうだい」
ポルガラはしばらく考え深げに王女を見守っていたが、ついに口を開いて言った。「ずいぶん急に大人らしくなったこと」
「じゃあ、やらせてくれるのね」
「それはこれから考えることにしましょう。それよりさっさと兜や盾だのをはずしなさい。剣はそこの片すみにでもたてかけておけばいいわ。わたしはおいしいお茶をいれるから、あなたが何を考えているのか聞かせてちょうだい。いったん始めてしまったからには、もう何を言われてもわたしは驚かないことにするわ」
「あなたも協力して下さるとおっしゃるの」どういうわけか、その言葉はひどくセ?ネドラを驚かせたようだった。
「もちろんですとも」そう言ってからポルガラはほほ笑んだ。「たぶんあなたをよけいな災難から救い出すことくらいはできると思うわ。ガリオンに関してはうまくいか免疫系統なかったようだけれど」彼女はふと言葉をとぎらせると、辛らつな目つきでセ?ネドラの胸当てを見やった。
「それは少しばかりやり過ぎではなくて」
セ?ネドラはまっ赤になった。「だって、この方がもっと、その――」彼女は弁解するように口ごもった。
「セ?ネドラ」ポルガラは言った。「そんなこと気にしなくともいいのよ。あなたはまだ女の子なんですからね。もう少しお待ちなさい。そんなことは時間が解決してくれるわ」
「でもあんまりぺしゃんこなんですもの」王女はほとんど絶望したような声で叫んだ。とたんにある考えが彼女の脳裏にひらめいた。「ねえ、もしかしたらあなたの力で、そのう、こういうふうに――」そう言いながらセ?ネドラは胸の前である種のしぐさをしてみせた。
「いいえ、だめよ」ポルガラはきつい口調で言った。「それはあまりいい考えとはいえないわ。そんなことをしたらあなたの体内の必要なバランスを崩してしまうことになるし、そういったことは魔法で変えてはいけないのよ。いいからこのままじっとお待ちなさい。もしだめでも、何人かの子供を産めばきっとあなたの胸も大きくなってよ」
「ああ、レディ?ポルガラ」セ?ネドラは当惑したような声で小さく笑った。「本当にあなたには何もかもわかっているのね。まるでわたしにはいないお母さ更年期中醫んみたいに」思わず彼女はポルガラの首に腕を巻きつけた。
ポルガラは鼻にしわを寄せて言った。「セ?ネドラ、いいかげんにその鎧を脱いでくれないこと。まるで鉄瓶みたいに臭うわ」
セ?ネドラは笑い声をあげた。
それから数日後、何人かの人々が重要な使命をおびてリヴァを離れた。バラクはチェレクの艦隊に合流するためヴァル?アローンに向けて出帆した。ガリオンのとりなしで許しを得た若き熱血漢レルドリンは、かの地における準備のためにアストゥリアへ船出した。ヘター、レルグ、ブレンディグ大佐はカマールへ向けて発ち、そこから各々の故国へそれぞれの最終的な動員準備の監督をするために帰っていった。それぞれの速度で進んでいたさまざまな成り行きは、西の国々が戦争へと容赦なく突き進んでいく今、ひとつになってますますその速度を早めつつあった。