まあ、こちらも高品位フィルターを通して循環される代物なので、そこのところはなるべく意識しないよう兵士達は心がけてもいるわけだが。
そうした機能を装備している居住エリアの中で3交代の第一波で休養を命じられた女性6名が装甲戦闘服を脱いだ。
アルファ部隊・・・日本側呼称ア号部隊・・・88名のうち半分が日本国航空宇宙防衛軍の航宙特戦群44名だったが、回廊の崩落に巻き込まれ現在の兵力は27名。うち6名が女性と言うわけだった。
その中での最上位にある皆川麻美三尉は、員数の少ない女性が、居住エリア使用に際して、その人数から負担の多い男性と同等の休憩時間を頂くのはよろしくないのではないかという部下達の進言を受け、東屋一佐に 女性陣の休憩時間の短縮を申し出たが、一佐殿は「これから、いつきちんとした休息をとれるかわからないのだから、きっちり休め」と改めて命令を下した。
「ちなみにだ皆川三尉。別に俺は男尊女卑をしているわけではないからな。俺達男は確かに人数が多いわけだが、食って寝てシャワーを浴びるってことには変わりはない。君達が気を使ってくれたことには感謝するけど、みんながそれぞれ8時間休むってことには変わりがないんだから」
何だか分かったようなわからないような言い様だけど、とにかく筋は通したのだと皆川は部下達に説明し、遠慮なく・・・それなりにだけど、快適な8時間の休憩を頂戴することにした。
女性としては甚だしく遺憾なことではあるけど、5日間に及ぶ装甲戦闘服の着用と言う行為は装甲月面車の居住エリアに甚大な環境汚染をもたらした。
皆川三尉は慌てて空気清浄器を最大にして、取りあえず階級が下の者と技師や学者らからシャワー室に放り込んだ。