健治は少し離れた場所で


更新日時 : 2018年4月20日 18:33:52:JST

健治は少し離れた場所で

「おまけにトモちゃんが店で働いてるところをビデオで隠し撮りしてあるんだって。百万用意しないとデパートにそれを送りつけてやるって」
 どうしてこんなことを言いだしたのか、自分でもわからなかった。ただ、おれは冴えていると心の隅で自分を褒めていた。
「どうしよう……」
 トモコが絶句する。今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「とりあえずおれン家《ち》へ来い。対策を練らないとな」
 外に連れだし、車に乗せた。深夜の街道を吹っ飛ばす。
「なあ、トモちゃん。いっそのことデパートは辞めちゃった方がいいんじゃないのか。あの変態野郎だって、トモちゃんが辞めたとなりやあ、そこまではしないと思うんだ」
 トモコは黙って下を向いている。
「あとはおれがなんとかしてやる。一応ケータイの番号は聞いてあるんだ。少しは金を包まないといけないかもしれないけど、おれ、そうした方がいいと思うんだ。どう、トモちゃん、デパート辞めない?」
 トモコが考え込んでいる。
「デパートの仕事、面白い?」
「……いいえ」
「だったら辞めちゃいなよ」
「……わたし、辞めます」
「うん。そうした方がいいよ」健治の気がはやった。「トモちゃん、絶対にこの世界でやっていけるし。おれ、今後もずっとトモちゃんの面倒見るつもりだし」
「健治さん、ありがとう」トモコは目に涙を溜めていた。
「礼なんていいって。おれとトモちゃんの間柄じゃないか」
 アパートに着くと、いつもよりやさしく抱いてやった。
 そしてAV出演の話を切りだした。長時間かけて何度も説得した。
 トモコはさすがに迷っていたが、朝方になって「うん」と首を縦に振った。

 「ここで脱ぐんですか」
「そうです、慣れなくてはいけません。あなたは今後、スタジオの強烈なライトを浴び、その下で殿方とまぐわいをなさらねばならないのです」
 大村がビデオカメラを構える。トモコは暗い顔で服を一枚ずつ脱いでいった。健治は少し離れた場所でその様子を見守っていた。
「おお、なんというたわわに実ったブラボーな乳房。やや、なんと艶やかなピンクのビューティフルな乳首。口に含んでもよろしゅうございますか?」
「……はい?」
「口に含んでもよろしゅうございますか?」
「あ、ええと……」
 トモコが顔をこわばらせる。助けを求めるように健治を見た。
「社長、ちょっと——」と健治。

アクション

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投稿者 : brandstory | 18/04/20 18:33 | 全体に公開
タグ : コメディ , 音楽
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